この本では挿絵は話の内容の情景ではなく、そのストーリーそのものです。この挿絵には子供の頃心惹かれましたが、今見ても古びたところは感じません。 私のおすすめの絵本です。
本書にはひろすけ童話23篇が収録されていて、大人が読める本になっています。欲を言えば、表紙以外はイラストが無いのですが、読者のイメージを膨らませる補助のために、挿絵が数点くらいはあっても良かったのではないかと思いました。
例えば『一杯のかけそば』のような、いわゆるお涙頂戴話は、ツボにはまった人は泣けるけど、冷静な人にとってはかえってヤラセっぽく感じて嫌悪感すら覚えてしまいます。
表題作『泣いた赤おに』は有名な童話ですが、物語の中で友情に基づいたヤラセ行為が行われます。読者の涙を誘うのは、青おにのヤラセではないまごころの友情です。ストーリーが分かっていても赤おにに共感し、泣ける場面です。去って行った青おにとはもう二度と会えないかもしれませんが、どこまでも友情は失われることはありません。